『子どもの権利条約』をきっかけに考えた南アのこと、日本のこと。
最近NPOでのボランティアをはじめて、はじめてオフィスにお伺いした際にある本を頂きました。それがこれ。
The rights of a child
国連の子どもの権利条約を、南アフリカで使われる11の言語全てに翻訳をしな内容です。
南アフリカの子どもたちの権利は守られているのか?
まだまだ勉強中なので、お聞きした範囲で・・・ということにはなってしまいますが、必ずしもすべてが悲観的な状況ではないというのが南アの実情かなと思います。
まず、ストリートチルドレンをこの国では見かけません。
これ、言われるまで全く気がつかなかったけど、確かに見かけないのです。路上の物乞いの人を見ない日が残念ながら無いのですが、彼らはみんな大人です。(たまに、子どもを連れたお母さんはいますが・・・あくまでこれは、私と私の周りの人達が知っている中での一般論的な見解です。)
その理由の1つは、学校で無料の給食を提供しているからなのだそうです。
学校にいけば、ちゃんとご飯が食べられる。貧困に喘ぐ家庭と子どもにとっては本当に必要な対応です。そしてマンデラさん時代以降で学校の建設には非常に力を入れたそうで、小学校にはほとんどの子どもが進んでいるそうです。
一方で、残念ながら経済的な事情が壁となり、義務教育でも卒業できない子たちの数が約2割にも達するということで『育つ権利』の観点で言うとまだまだ課題は山積です。
特に11もの言語があるにも関わらず、英語が仕事をしていくためには必須に近い状況。語学教育が非常に重要な状況にある一方で、小学校では途中から英語で授業を受けるようになるので、そのせいで理解度が追いつかなかったり、さらに母語も十分に使わないので思考が深まりにくいという課題も持っています。
南アは入り口の部分は一生懸命整えたけれど、継続的な内容、そしてその継続的な内容がもたらす子ども達の将来という部分に対しては、対策が不十分もしくは対応が追いついていない、と言わざる得ないでしょう。
ここには、私たちが生活をする分には十分すぎるほど整った住環境、生活水準がありますが、一方で子どもを含めた国民の多くが同じ国であるにも関わらず、全く異なる環境に生きていることを忘れずに、できる支援の在り方の中で関わって行くべきであると改めて考えさせられました。
日本は子どもの貧困のブラックボックスを持っている
ひるがえって日本はどうか?
この機会に凡人なりに考えてみました。
私は必ずしも子どもの権利が守られているとは思えない状況になってきていると最近色んな話を聞く中で思っています。
今や6人に1人もの割合で日本の子どもも貧困に陥っているとも聞きます。
あくまで1つの見方ではりますが、日本の子どもの貧困の原因は両親がワーキングプア状態で、食事の問題、親子としての関係の問題に陥りやすいことに起因をしているそうです。
参考:【iRONNA発】先進国で最悪レベル「子供の貧困」 なぜ豊かな日本で解決できないのか(1/4ページ) - 産経ニュース
一見、みんなが平等、未だ一億総中流層的な考え方は少なからず蔓延っている日本だからこそ、こうした問題は見落とされがちでしたが、いよいよちゃんと子どもの権利について考え、具体的な対応をすべき時になっているのだと改めて思います。
義務教育期間中は特に子どもだけで解決することは難しいので、学校がプラットフォームになってサポートする体制がもっと必要だし、高校生以上になったら、自分自身でライフハックするためのキャリア教育(ライフキャリアも含めた)がもっとこれから増えていくべきですね。
私個人としては、最低限食事が確保でき、親の借金等のために働くといった状況を克服できたら、残りは結局どんな価値観を持つかが大切だと思っています。いわゆる親の職業レベルや教育レベルが世代間継承される【文化的再生産】な状態が子どもの貧困問題における一番の障壁ではないでしょうか。
そしてこれからの時代、そのバッドスパイラルがもっともっと深くなっていくような予感がするのです。
努力以前に、ベースとなる価値観はすごく重要です。
時に人は、自分に自信が持てず、自分の才能を認められず、自分の選択肢は閉ざされていると思い、知っている中で自分の身の丈に合っていると思う選択肢しかできなくなります。
お金がないことよりも、成功するための価値観が形成されないことの方が実は大きな損失を与えているのではと私個人としては思うこともしばしばあります。
そしてこれを、子どもだけでそれを解決するのはとても難しいです。だから『子どもの権利条約』というような存在があると思いますし、大人の私たちがなんらかの形で関わって、少しでも解決に寄与したいなと思うのです。
結局、南アだって問題がたくさんあるけど、日本だって問題がたくさんある。生まれた場所、生まれた家によって人生が左右される状況を少しでも変えられるように、アプローチできるのは私たち大人の役目だと思います。
わたしにできることなんてちっぽけですが、やらぬ善よりやる偽善。できる関わり方の中でコミットしようと思います。
ここ南アフリカにきたからこそ、日本にいるよりリアルに、日本の問題を考えさせられる今日この頃です。
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